半導体製造向けの部品加工および装置の設計・製作を手がけ、近年は環境事業や医療、食品などの新分野に相次いで参入している株式会社ピーエムティー(ピーエムティー)。事業の拡大が続く同社の経営を支えているのが、京セラコミュニケーションシステム(KCCS)が構築したERPシステム(統合基幹業務システム)だ。ERPパッケージにはインフォア社の「Infor SyteLine」を採用。Infor SyteLineが備える柔軟性や、基幹システム構築におけるKCCSの実績や技術力などが選定の決め手になった。
同社は、半導体製造向けの商社として1991年に創業。1998年に「マイクロサーボプレスシステム」の第1号機を完成させたのを機に、軸制御技術をコアコンピタンスとしてさまざまな領域に事業を広げ、業績を伸ばしてきた。2008年には、中小企業庁の「元気なモノ作り中小企業300社」にも選出されている。
同社のものづくりを支えていたのが、商社時代に構築した販売管理パッケージをカスタマイズしたシステムだ。このシステムの主要な機能は受発注と売り上げを管理することで、生産計画・在庫管理などの生産管理系の機能は備えていない。現場の社員が「Microsoft Excel」を駆使し、この販売管理システムで生産管理も行っていた。生産管理に不足している機能を社員の手作業でカバーしてきたのだ。
こうして、2015年5月に導入プロジェクトがスタートを切った。
システムの選定にあたって、生産管理機能を備えたERPパッケージを提供するベンダ10社にデモを行ってもらった。その後、Infor SyteLineを含む4製品に絞って詳細を比較した。その中からInfor SyteLineを選定したことには大きく二つの理由がある。
一つ目はInfor SyteLineの柔軟性だ。Infor SyteLineは「Microsoft .Net Framework」や「Microsoft SQL Server」などWindows環境における標準的な技術やソフトウェアがベースとなっており、ソースも公開されているため、自社で容易にカスタマイズが行える。
日頃から使い慣れたOfficeアプリケーション製品と同様の操作性を実現している点も選定の決め手の一つになった。例えば一覧表示されたデータを選択し、そのままExcelシートに貼りつけたり、逆にExcelからInfor SyteLineに貼りつけたりするようなことが可能だ。このほか、全世界で約6,000社に導入されているという実績も選定を後押ししたという。
もう一つの選定理由は、KCCSに対する信頼感だ。KCCSは、京セラをはじめとする多くの製造業のシステム構築・運用に長年携わっており、ピーエムティーはその実績や製造業における業務の知見の深さを評価していた。さらに、当初から業務プロセスの改善など、後々、手戻りの少ない作業手順で進められるよう、導入先の立場に立った提案をしていたことも評価された。
実際、導入プロジェクトではきめの細かい支援を受けたという。例えば、KCCSで同社を担当したICT事業本部 ソリューション事業部 ERPソリューション部 東日本ソリューション課の藤本 祐也は6か月もの間、週に2~3日は同社を訪れ、新システムのコンセプトや新しい仕事の進め方などを説明・議論している。システムを利用している現場からは「これまでは製番・品番管理という概念がなかったので、最初は新システムでの仕事の進め方が理解できませんでした。初めてシステム化する部分や、既存業務から運用方法を変える際の仕様の取り決めに一番苦慮しましたが、藤本さんが懇切丁寧にサポートしてくれて大変助かりました」という声が上がった。
藤本と同様に同社を担当したKCCS ICT事業本部 ソリューション営業統括部 ビジネスソリューション営業部 西日本BS営業課の岡本 祐介は「現場の社員の方々の勉強熱心さに驚きました。これなら、すぐにシステムの導入効果が表れると思いました」と評する。
新システムは2016年8月から稼働を開始した。これによって、同社の生産管理は大きく生まれ変わった。ものづくりの現場の詳細な状況が可視化できるようになったため、意思決定の精度とスピードが大きく向上したのだ。
例えば、従来は正確な在庫量が把握できなかったが、新システム稼働後はほぼリアルタイムで知ることができる。原価計算の精度も上がり、ロスコスト管理によって不要な経費も見えるようになった。
現場の社員の利便性も上がっている。データ入力の生産性が飛躍的に高まったのだ。同社では部品数の多い装置を一日に20~30件受注することもある。以前は大変多くの伝票処理(受注~購買まで)を1件ずつ手で入力していたため、3人で作業しても入力が追い付かない状況だった。しかし、新システム導入後はExcelからの取り込みを利用することで一括して登録ができるようになり、日中の作業で終わらなかったような仕事が約30分に短縮された。品目マスタに構成部品や工程を事前に登録できるので、特にリピート品の取り扱いは格段に処理が早くなった。
同社では、システムを拡張することによって、さらに生産性を上げることを検討している。現在は、バーコードやハンディーターミナルなどを導入することを計画中だ。Infor SyteLineは、容易にカスタマイズできるので、こうした拡張でも外部のベンダに頼らずに済む。
将来的には、グループ内での連携を深めるため海外を含めた関連会社への展開も視野に入れている。グループでシステムを統一することが大きな目標だ。
取材時期:2017年11月